
日本の田んぼなどに生息するトノサマガエルは、スズメバチに毒針で反撃されながらも捕食できることが神戸大学の研究で明らかになりました。
研究者は人に作用する痛みや毒のメカニズムの理解にもつながる可能性があるとしています。
この研究は、神戸大学大学院の杉浦真治教授が海外の学術誌で発表しました。
スズメバチの毒針に人が刺されると痛みや心機能障害などをもたらし、小型の哺乳類の場合 1回で死に至るとされています。
一方、野生のトノサマガエルの胃からスズメバチが見つかるケースがあり、どのように捕食しているか分かっていなかったということです。
実験では、▽トノサマガエル45匹と▽大型の「オオスズメバチ」など3種のスズメバチ15匹ずつを用意し、カエル1匹にハチ1匹を与えました。
その結果、ハチを捕食しようとしたカエル43匹のうち、8割余りが成功し、多くは顔やのどなどを複数回刺されましたが、衰弱したり死んだりするカエルはいなかったということです。
このことから毒針への高い耐性があることがうかがえるとして、今後、トノサマガエルが毒の影響を受けにくい仕組みを明らかにすることで、人に作用する痛みや毒のメカニズムの理解にもつながる可能性があるとしています。
杉浦教授は、「最も大きく危険なオオスズメバチまで高い頻度で捕食できるとは思っていなかった。口内粘膜などに刺し傷を無効にできる構造や仕組みがある可能性が考えられ、詳しく調べたい」とコメントしています。